大阪高等裁判所 昭和59年(ラ)321号 決定
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【判旨】
1 申立却下の用語について
抗告人は、訴訟法上「却下」とは所謂門前払いの裁判をいい、内容に立ち入らない場合の判断であるから、原審判が「却下」との用語を使用したのは正当でない旨主張する。
民事訴訟法上、原告が訴状の補正命令に応じない場合、訴状を却下すべきものと規定し(民事訴訟法二二八条二項)、不適法な訴、控訴、上告についてはこれを却下すべきものと規定し(同法二〇二条、三八三条等)、控訴、上告が理由のないときはこれを棄却すべきものと規定している(同法三八四条、三九六条)。したがつて民事判決上、訴訟要件を欠く場合は「却下」の、本案判決の場合(請求が理由のない場合)は「棄却」の語句を使用してこれを区別しているものである。しかしながら、民事訴訟法においても、決定や命令をもつて申立を認めない場合は、必ずしも右のような使い分けをするものではなく、例えば督促手続の場合(同法四三三条)、仮差押、仮処分の場合(同法七四二条二項、七五条)、訴訟手続に関する申立の場合(同法四一〇条)等には、訴訟(手続)要件を欠く場合だけではなく、その本案が理由のない場合においても、申立を却下すべきものと規定している。このことは家事審判事件においても同様であつて、家事審判規則(例えば、同規則一五条の三第一項、四三条二項、八〇条二項、一〇〇条二項、一〇三条の五第二項、一一一条等)、は家事事件にかかる申立が手続要件を欠く場合と、その本案が理由のない場合とを必ずしも区別せず、申立人の申立が認められない場合においても、これを却下すべきものとしているのであつて、原審判が抗告人の申立の内容について審理判断しながら、その申立を認容できないとして「却下」なる語句を使用してその審判をしたことには、なんら不当なところはないといわなければならない。
(小林定人 坂上弘 小林茂雄)